インプラントの寿命は何年?再手術の可能性やメンテナンスの重要性を解説

インプラントによる治療によって、歯を失っても自分の歯のように噛める幸せを享受している人が増えています。
しかし、インプラントには寿命があり、適切に使用しなければ持ちが悪くなったり再手術が必要になったりすることがあります。
この記事では、インプラントの一般的な寿命や寿命が短くなる原因とリスク、長持ちさせるために知っておきたいことなどを解説します。
この記事を読むことで、インプラントの平均寿命や持ちをよくするための基礎知識、寿命がきた時にどのように対処できるかがわかり、次のような疑問や悩みを解決します。
この記事でわかる事
- インプラントの一般的な寿命は?
- インプラントの寿命が短くなるのはどのような原因があるのか
- インプラントの再手術はどのような時に必要か
- インプラントの持ちを長くするための知識
- インプラントの寿命がきたらどうすればいいのか
目次
インプラントの一般的な寿命
インプラントの寿命は個人差があり、一般的には10年以上、中には20年持つ人もいます。
歯を失った時の治療法としては、インプラント以外にも義歯やブリッジなどの方法がありますが、これらの寿命は数年程度とされていますので、インプラントの方が格段に長く持つといえるでしょう。ただ、インプラントが何年持つかを決定づける最も大きな条件は、術後のメンテナンスといわれています。せっかく高額な費用を払ってインプラント治療を受けても、適切なメンテナンスを行わなければ、早期に寿命を迎えることになりかねません。
インプラントの寿命が短くなる原因
インプラントの寿命が短くなる要因として、主に以下のものが挙げられます。
歯周病(インプラント周囲炎)
インプラントの周りの組織が細菌感染によって炎症を起こすインプラント周囲炎は、いわばインプラントの歯周病です。
インプラントは天然の歯のような免疫機能が備わっていないので細菌感染に対する防御力が低く、感染すると重症化するリスクが高まります。
歯ぎしりや食いしばり
歯ぎしりや食いしばりによる強い咬合力は、インプラントにダメージを与えます。
天然の歯は歯根膜という組織があって衝撃を和らげる機能を備えていますが、インプラントには歯根膜がなく、衝撃が直接インプラント体や骨に加わることが理由です。
メンテナンス不良
インプラントの周囲には、細菌に対する防御機能の役割を持つ歯根膜がありません。そのため、インプラント周囲に汚れが蓄積すると、歯周病と同様の炎症が起こります。したがって、インプラントは天然の歯よりもいっそう丁寧なケアが必要であり、セルフメンテナンスだけでは不十分なため、定期的にプロのメンテナンスを受けることが求められます。
生活習慣や身体的なリスク要因
喫煙は歯茎などの歯周組織にある末梢血管の血行不良を招き、術後の傷や炎症の治癒、インプラント体と骨の結合を阻害します。
糖尿病や骨粗鬆症がある人は、インプラントが骨に定着しづらいケースや炎症が起こりやすいことがわかっています。また、内服している薬剤が影響することもあります。
術前の歯周組織のリスク要因としては、「手術部位に骨が少ない」「歯肉が短い」ことなどが挙げられます。
治療スキルや質の問題
インプラントは世界中のたくさんのメーカーが販売していて、選択肢が豊富です。術式も複雑で難易度の高い外科処置であり、慎重な準備と熟練した歯科医師の技術や知見が求められます。
近年多くの歯科医院でインプラント手術は行われていますが、中には質の悪い安価なインプラントを使用したり、手術する歯科医師のテクニックが伴わなかったりすることもあります。
インプラントの再手術が必要になるケース
インプラントに以下のような問題が起こると、再手術が必要になることがあります。
インプラントの動揺や脱落
インプラントが何らかの原因でぐらぐらと動揺したり、脱落したりした場合には、再手術が必要になることがあります。動揺や脱落の原因は、インプラント周囲炎による周囲の組織の炎症や、噛み合わせや食いしばりによって長期にわたり過剰な力がかかることが挙げられます。
骨と結合しなかった場合
手術時に骨が不足していたり、使用するパーツや機材が適切でなかったり、感染や基礎疾患の影響などによって、インプラントと骨がしっかり結合できず定着しないことがあります。
手術そのものによって起こったトラブル
稀に手術中に顎の神経を損傷したり、手術に使用した器具やインプラント体によってアレルギーなどの症状が現れたりすることがあります。
インプラントの持ちを長くするための方法
せっかく入れたインプラントを長持ちさせるには、日々のセルフケアと定期的なプロのメンテナンスが不可欠です。また、歯ぎしりや喫煙などのリスク因子への対策、信頼できる歯科医院選びも重要です。
適切なセルフケアとプロのメンテナンス
インプラントが何年持つかを左右する最大の条件は、適切なケアです。自宅で行うセルフケアはもちろん、定期的に受診してプロによるメンテナンスを受けることで、インプラントの持ちが決まると言っても過言ではありません。
そのため、インプラント治療は通常保証期間が設けられていますが、定期的なメンテナンスを受けることが保証を受ける絶対条件とされていることがほとんどです。
歯ぎしりや食いしばりの対策
食いしばりはインプラントの天敵と言う歯科医師もいるほど注意が必要です。
歯ぎしりや食いしばりは、歯に長期間過剰な負荷を与えますので、いくら硬いチタン製のインプラントでも折れてしまうことがあるほどです。インプラント周囲の組織にも大きな負担となりますので、食いしばりの自覚がなくてもインプラントの持ちを長くするための対策として、就寝時にマウスピースを装着することをおすすめします。
リスク因子を少なくする
インプラントの寿命を左右するリスク因子をできるだけ少なくすることが大切です。
まずインプラントの周囲組織の健康を阻害する喫煙はやめることをおすすめします。また、糖尿病や骨粗鬆症などの全身疾患の治療もきちんと受けることが大切です。
その他、口腔内の環境を良い状態にして、周囲組織の健康を維持するために食習慣や生活習慣を整えることも必要です。
信頼できる歯科医院で手術を受ける
インプラント手術を成功させるポイントのひとつは、手術を行う歯科医師の経験とスキルの高さ、そして、使用されるインプラントメーカーの品質です。
自費診療であるインプラントは高額になりがちですが、費用だけに捉われずこれらを総合的に判断して選択することが重要です。また、術後に適切なフォローを行ってくれるか、保証期間とその内容についても確認するようにしましょう。
インプラントの寿命がきたときの対処法
インプラントの終末、つまり寿命がきたときとは、インプラント体が骨から脱落するときを指します。
インプラントが脱落した後の組織は、状態が悪く再手術ができないことも少なくありません。時には隣接する歯の周囲組織にまで影響することもあります。
もし周囲組織の状態がそれほど悪くなければ、再手術によって再びインプラントを埋入できることがあります。ただし、再手術の予後はあまりよくないとされています。そのため、状態が悪ければブリッジや義歯になる可能性が大きいでしょう。どちらが適しているかは精密な検査に基づき、周囲の歯の状態や欠損部位によって判断されます。
インプラント治療を後悔しないために
インプラントは、歯を失ったことによる大きな損失を埋める画期的な治療法のひとつです。しかし、管理を怠ると天然の歯と同じように、さまざまな症状に悩まされ「高い費用を払ったのにやらなきゃよかった」と後悔することになりかねません。そうならないために、信頼できる歯科医師による手術を受け、適切なメンテナンスと管理を継続して定期的に行うことが重要です。
インプラント本体は人工物ですが、自分の体の一部と考えて丁寧に管理することが後悔しないためのポイントといえます。
【まとめ】インプラントの寿命を長くするために知っておくべきことを解説
インプラントの寿命と再手術の可能性、メンテナンスの重要性について解説しました。
この記事では、下記のようなことを理解していただけたのではないでしょうか。
この記事の要約
- インプラントの寿命は10年以上といわれるが個人差がある
- インプラントの寿命が短くなる原因として、「インプラント周囲炎」「歯ぎしりや食いしばり」「メンテナンス不良」「生活習慣や身体的なリスク要因」「治療のスキルや質の問題」が挙げられる
- インプラントの再手術は、インプラントの動揺や脱落した場合や骨と結合できず定着しなかった場合、手術によって起こったトラブルが起こった場合などに行われる
- インプラントの持ちを長くするポイントは、適切なメンテナンスを行うことや歯ぎしりや食いしばり対策、リスク因子の排除、そして信頼できる歯科医師による手術が挙げられる
- インプラントの寿命がきた場合、可能であれば再手術を受けられるが予後はあまりよくなく、ブリッジや義歯になることもある
インプラント治療では、術後の適切なメンテナンスや管理が行われているかがインプラントの寿命に大きく関わります。費用も高額であり外科手術という山場を越えてまで入れたインプラントですが、何年持つかはその人次第ということです。
ブリッジや義歯と比較すると、違和感もなくよく噛めるという特徴は最大のメリットといえるでしょう。自分の歯と同じような感覚で食事ができて、笑顔でいられる毎日を1日でも長く過ごすためには、信頼できる歯科医師選びが大切です。
インプラント手術を検討されている方や疑問をお持ちの方は、多くの実績を積んできた稲城市の南多摩駅から徒歩6分にある南多摩歯科クリニックにご相談ください。