ブリッジとは
ブリッジは、失った歯に隣接する歯を支台として、無くなった歯の代替となる人工歯を連結させた一体型の被せ物です。
この計算された人工物は、歯の喪失によって失った噛み合わせや発音などの機能や歯並び、見た目を回復します。
ブリッジはこんな方におすすめ
- 義歯にはしなくない
- 健康保険が適用される治療をしたい
- 歯の喪失が1~2本程度に限られている(症例による)
- 支台となる歯が保険に適用される本数を確保できている
- 支台となる歯がしっかりとしている
- 残存歯がブリッジの装着に問題ない噛み合わせや歯並びをしている
- 口腔ケアがきちんとできている
ブリッジのメリット
ブリッジには、インプラントや入れ歯などの再建治療と比べて、以下のようなメリットがあります。
歯の形に近い
ブリッジは、噛み合わせや歯並びを基に、もともとの歯の形状を再現して製作されるので、自分の歯に近い形になります。
違和感が少ない
入れ歯は人工歯と床(歯肉に該当する部分)がひとつの構造体となっており、口の中でも存在感が大きく違和感が強くなります。
それと比較してブリッジは歯冠部分のみのシンプルな構造ですので、コンパクトで違和感が少ないのが特徴です。
よく噛める
入れ歯は、床と粘膜の吸着力とクラスプとよばれる金属製のバネ(部分入れ歯の場合)で安定させますが、完全にフィットするわけではなく、噛む力も落ちます。
ブリッジは歯に直接接着させるため、自分の歯のようにしっかりと噛むことができます。
保険診療で受けられる
ブリッジは定められた材料を使用すれば、保険診療で装着することができますただ、セラミック材料やインプラントは自費診療となります。
保険が適用されると、窓口での自己負担分は1~3割と非常に安価になるので、治療費を抑えることができます。そのため、保険診療が可能であることは大きなメリットといえます。
ブリッジのデメリット
インプラントや入れ歯などの歯の再建治療と比較して、ブリッジには以下のようなデメリットがあります。
歯を削らなくてはならない
ブリッジの最大のデメリットは、隣接する歯が健全であっても削らなければいけないという点です。入れ歯やインプラントの場合、歯を削る必要がないため、他の歯を犠牲にすることはありません。
ブリッジを装着するために問題のなかった歯を切削することによって、痛みが生じたり、二次う蝕のリスクが高まったりします。一度削ると、元の健全な状態に戻ることはありません。
適応条件がある
ブリッジは保険上定められた支台歯の本数を確保できることと、支台歯が支えるに値する強度があること、噛み合わせに問題がないことなどの条件が求められます。そのため、ブリッジには適応するケースとそうでないケースがあります。
一方、入れ歯は歯の本数が不足していても部分床義歯から総義歯まで幅広いタイプで対応が可能であり、適応範囲も広いのが特徴です。また、インプラントでは、埋入する位置を調整することで様々な症例に対応できます。
歯磨きが難しい
ブリッジは、欠損している部分に歯冠だけの人工歯部分があり、複雑な構造をしています。この人工歯の下と歯肉との隙間は歯磨きが難しく、ケアが不足すると歯肉の炎症や口臭などの原因になることがあります。また、支台となっている歯が虫歯や歯周病になるリスクも高まります。
入れ歯であれば、外して目で見ながらお手入れが可能です。インプラントでは、ブリッジのような隙間がないため、通常の歯と同じように歯磨きをすることができます。
歯に負担がかかる
ブリッジは、支台となる歯に失った歯の分まで噛み合わせの力がかかります。例えば、1本の歯を喪失し、隣接する2本で支える場合には、それぞれの歯に1.5本分の力がかかるということになります。
インプラントは、通常の歯と同じようにもともと受け止める力だけがかかります。入れ歯は、広い範囲の粘膜で力を受け止める形状となっています。
自費診療と保険診療のブリッジの違い
当院では保険診療だけでなく、審美性の高い自費診療によるブリッジにも対応しています。
セラミックブリッジ(自費診療)
セラミックブリッジは、セラミック材料を使用して製作されたブリッジのことで、天然歯のような自然な仕上がりとプラークがつきにくい材質が特徴です。
そもそもブリッジは、喪失した歯を人工歯で補う形状のため、高い強度が求められます。当院では、セラミックの中でも特に強度の高いジルコニアを使用しています。人工ダイヤモンドとも呼ばれるこの材料は、ブリッジに求められる強度が十分に確保できるだけでなく、光透過性もあるため仕上がりも自然です。
保険診療のブリッジ(保険診療)
当院は、経済効果の高い保険診療適用のブリッジも対応可能です。
保険診療のブリッジは使用できる材料が限定されており、金銀パラジウム合金を使用しています。通称金パラともよばれ、臼歯部ではいわゆる銀歯になるため、審美的にはよくありませんが、治療費を抑えられるという大きなメリットがあります。
前歯部は、唇面(表側)を硬質レジンという歯科用プラスチックを盛った前装冠になります。色もある程度自分の歯に近づけることができますので、審美的には目立ちにくいものの、経年による変色や劣化などもあり、セラミックのような自然な仕上がりにはなりません。
ブリッジ治療の流れ
当院のブリッジ治療は、実績豊富な歯科医師が精密な検査を基に診断を行い、最適な治療を行っています。
- 1.
問診
はじめに気になっている点や治療に対する希望をお聞きします。
また、全身の健康状態の聞き取りを行い、既往歴や現病歴、薬や食べ物・金属などのアレルギーの有無、女性の場合は妊娠しているかなどの確認をします。 - 2.
検査と診断
口腔内の状態を確認していきます。
口腔内のチェックのため、虫歯や歯周病の有無、噛み合わせ、歯並びなどについても細かく検査を行い、必要に応じてレントゲン撮影をします。これらの結果に基づき、ブリッジの治療の可否も含め診断を行います。 - 3.
治療計画の作成
ブリッジ治療が適応であれば、ブリッジの種類について選択します。
まず、保険診療か自費診療かを選択します。保険診療では選択肢が限られますが、自費診療の場合は色や材料、治療費など、さらに細かく選定していきます。歯の状態によっては、支台となる歯の治療の必要性や人工歯となる部分の形状などについても決めていきます。
このような情報を総合的に判断して綿密な治療計画を作成し、患者様の同意がいただけた場合は治療を開始します。 - 4.
支台歯形成
支台となる歯を削って、適切な形に形成します。もし虫歯や歯周病などが確認された場合には、先に治療を行います。
- 5.
印象採得
支台歯を適切な形状に整えたら歯型を採ります。
保険診療の場合、アルジネート印象材と寒天印象材を使用した連合印象が行われるのが一般的です。自費診療では、変形の少ないシリコン印象材を使用することが多いです。 - 6.
咬合採得
歯型を採った後は、上下の正しい噛み合わせや位置関係を確定するために咬み合わせを記録します。通常、板状のパラフィンワックスを噛んだり、咬合採得用のシリコン印象材を使用したりして採得します。
- 7.
リテーナーの装着
支台歯を形成しても、歯の位置が少しずつ移動したり、生活歯の場合はしみるなどの症状が起こったりすることがあります。そのため、一時的にリテーナー(TEKまたはTECともよばれる仮歯のこと)を作って仮着けします。
- 8.
完成
ブリッジが完成したら、リテーナーを除去して合い具合や嚙み合わせの調整を行います。適合がよいことを確認したら、専用の接着剤で歯に合着します。
- 9.
経過観察
装着後実際に使用して歯磨きを行っていただき、改めて噛み合わせや清掃状態の確認をします。その際、必要に応じて微調整や歯磨き指導なども行います。
よくある質問
一般的には、5~8年程度といわれています。ただし、個人差があり、虫歯や歯周病の状態、噛み合わせや歯磨きの状態など、さまざまな影響によって短くなることがあります。
10年以上経過しても問題なく使用できているケースもありますので、あくまでも目安であり一概には言えません。
保険診療では、前歯と奥歯の材料は同じで金銀パラジウム合金を使用します。
自費診療では、セラミック材料のひとつであるジルコニアを使用しますが複数の選択肢があり、開発された時期によって4つの世代に分かれます。
ジルコニアは、強度が高いと光透過性にやや劣り、光透過性が優れていると強度にやや劣るという特徴をもっています。そのため、前歯部で審美性を求めたい場合には光透過性に優れたタイプを選択し、臼歯部では強度に優れたタイプが選択されるケースが多いといえます。
ブリッジ治療は、支台となる歯を移動させることなく本来の噛み合わせを再現するため、噛み合わせが変わることはありません。
原則として歯並びを治すことを目的としていません。支台となる歯や噛み合わせる歯は本来の位置のままで製作しますので、元の歯並びに近い状態になります。
ブリッジは、プラークが付着しやすい構造となっています。プラークは虫歯や歯周病の原因となるため、支台となっている歯を健全に維持し、長持ちさせるために定期的なメンテナンスは必要です。
治療概要
治療方法 | |
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治療の説明 | ブリッジ治療は、歯を喪失した場合に噛み合わせや歯並びなどを回復することを目的として、隣接する歯の被せ物と喪失した歯の代替であるポンティックを一体にした人工の歯を接着する治療をいいます。 |
治療費 | 保険診療:前歯/約20,000円~、臼歯/約10,000円~/自費診療:270,000〜360,000円 |
治療期間 | 1週間〜3ヶ月程度 |
通院回数 | 2〜10回程度 |
治療の副作用(リスク) | 歯に痛みが出る、歯根が破折する、二次う蝕や歯周病 |