LINGUAL FRENULUM レーザーによる舌小帯切除術

舌小帯切除術は、舌小帯短縮症や舌癒着症などの治療として行われる手術です。これは、舌小帯付着異常が原因で、舌小帯が舌の先から下顎前歯部の裏側の歯肉下の口腔底まで付着している状態です。
舌小帯切除術は、従来ブレードメスを使って行われていましたが、近年ではメリットの多いレーザーメスを採用する歯科医院が増えています。

レーザーメスは、装置から放出されたエネルギーをメス部分に集中させることによって、熱エネルギーとして作用し組織を分断します。この作用が舌小帯切除術に活用されています。
当院で使用するのは、小帯切除において特にメリットが多く最適とされている炭酸ガスレーザーです。

舌小帯は舌の下側から口腔底まで付着しているヒダ状の組織で、口腔内に複数ある小帯のひとつです。
舌小帯付着異常は、舌小帯が舌尖（舌の先）の近くまで付着していたり、短すぎたりする状態で、舌小帯強直症や舌小帯短縮症ともいわれます。舌小帯付着異常では舌の動きが制限されるため、発音や嚥下など舌の機能に障害がみられますが、痛みや腫れなどの症状はないことがほとんどです。

• 舌小帯異常によってミルクがうまく飲めない
• 舌小帯異常によって発音が不明瞭になるなどの障害がある
• 舌小帯切除術の手術時間を短縮したい
• 何らかの理由で麻酔を控えたい
• 何らかの理由で出血をできるだけ抑えたい
• 何らかの理由で術後の抜糸が難しい

レーザーを使った舌小帯切除術では、従来の方法と比べて違いやメリットがあります。

従来の手術では、麻酔から切除、縫合までにある程度の時間が必要でした。しかし、レーザーメスでは切除に係る時間はほんの数十秒で、麻酔や止血、縫合が不要になることもありますので、短時間で手術が可能です。

切除する範囲によっては、麻酔が不要になることがあります。

レーザーメスは熱エネルギーを使っているため、切除時に血管の切断面が封鎖され、出血しにくくなります。

通常、止血処置として縫合を行いますが、レーザーによる切除では出血が非常に少ないので、縫合による創閉鎖が不要になることがあります。

レーザーによる切除では、術後の傷の治りが速く瘢痕が残ることも少ないため、炎症による痛みや腫れはほとんどみられません。

当院は、舌小帯切除術に遠赤外線に近い波長をもつ炭酸ガスレーザーを使用しています。
炭酸ガスレーザーは組織表面吸収型レーザーに分類され、レーザー光が照射された組織のごく浅い部分で熱エネルギーが作用し吸収されますので、深部に影響を及ぼすことがないという特徴があります。また、吸水性が高く、水分の多い粘膜や皮膚などの組織の切開に適しています。
当院の機器にはガイド光があり、照射する部位をピンポイントで確定しますので、的確に接触せず照射することができます。

当院のレーザーによる舌小帯切除術では、施術時間やダウンタイムが従来の方法より短縮できます。

• 1.

  問診

  まず初めに問診を行います。
  気になっていることや、既往歴、現病歴、内服薬の有無や種類、アレルギーの有無などを確認させていただきます。

• 2.

  検査

  舌小帯がどのような状態にあるか、以下のような点について検査します。

  • 自然に口を開けて舌を上に挙げた時に、小帯に引っ張られた舌の先端がへこむか
  • 舌を前に伸ばした時に、小帯に引っ張られた舌の先端がハート状にへこむか
  • 舌を下顎前歯の切端より前に伸ばして出すことができるか
• 3.

  診断と治療方針の決定

  舌小帯付着異常と診断されたら、レーザーによる舌小帯切除術の必要性について判断し、必要と判断された場合は治療計画を立てます。

• 4.

  治療

  1. 開口器の装着
     必要に応じて、治療中に安定的に開口状態を継続するための開口器を装着します。
  2. 局所麻酔
     必要に応じて舌小帯の周囲に浸潤麻酔を行います。ただし、レーザーによる舌小帯切除術では、状態によって使用しないこともあります。
  3. 舌尖部の牽引
     外科用ピンセットなどの器具を用いて、舌の先端をつかみ上に引っ張り上げます。ピンセットではなく、4～5号程度の縫合糸を通して引っ張ることもあります。
  4. 切除部位を挟む
     切除する舌小帯部を鉗子（モスキート）で挟んで把持します。
  5. レーザーによる切除
     レーザーメスで鉗子に沿って切除します。鉗子の下の口腔底部も切開することで菱形（ダイヤモンド型）の開放創ができます。
  6. 縫合
     菱形に開創された部位の中央辺りを4－0～5－0ナイロン糸などで縫合しますが、必要でないケースもあります。
  7. 処方
     感染予防や痛みへの対処のために、抗生剤や消炎鎮痛剤を処方します。
• 5.

  経過観察

  術後の経過観察を行います。縫合している場合は、5～7日後に状態を確認後抜糸します。