小児歯科の重要性
小児歯科は、子供の歯や口腔の診療を専門としている歯科医療機関です。
歯科治療は大人も子どもも同じようなものと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、子どもは「成長」という大きな変化の過程にあるため、診療の内容や目的が異なります。もし乳歯の虫歯治療や管理がきちんと行われなければ、スムーズな永久歯への生え変わりや健やかな成長が阻害される可能性があります。
そこで、経験と知識、小児への対応力などを備えた歯科医師が、それぞれの特性や状態に合わせて適切な治療や管理を提供することで、将来への悪影響をできるだけ回避することができるのです。
当院の小児歯科
当院では、長年小児の歯科治療に当たってきた経験豊富な歯科医師が治療を行っています。
当院の小児歯科のこだわり
子どもの歯科治療は、大人の治療より広い視野と経験に基づいた治療が求められます。そこで当院では、ひとりひとりの子どもに最適な治療を行うために6つのこだわりがあります。
質の高い治療
当院は、長年この地域で子どもたちの成長を見守りながら、これまでたくさんの小児歯科治療を行ってきました。
長い経験によって培ってきた小児歯科の技術やノウハウを常にバージョンアップしながら、「今やるべき治療」や「今伝えておきたい情報」をタイムリーに提供し、子供の歯の状態や成長に合わせた最適な治療を選択しています。
怖くない治療
「何をされるんだろう」「痛いんじゃないかな」「怒られるんじゃないかな」といった、さまざまな不安を胸いっぱいに受診する子どもも少なくありません。
そこで当院では、治療を始める前にトレーニングをして慣れてもらうところから始めています。診療台に座るところから始まり、治療にはどんな道具を使うのか、どんな風に触られるのか、どんな風に動くのか、何のために使うものなのかなど、まずは子どもに知ってもらうことが大切です。慣れてきたら短時間でできる簡単な治療から始めます。
治療が終わったらご褒美も用意。「頑張ったね!」「えらかったね!」と頑張りを認めてもらい、ご褒美をもらえる経験から子ども自身が治療をしてよかったと思えるように誘導していきます。
嫌にならない治療
大人も子どもも治療で一番嫌なことは、おそらく痛みと時間ではないでしょうか。特に感受性が豊かな子どもは痛みにも敏感で、「怖い」「イヤ!」という気持ちを生み出します。また、長時間じっとしていることも苦手です。
そこで当院では、子どもが治療を途中で嫌にならないために、できるだけ痛みなくスピーディに治療を行うよう配慮しています。
ただし、虫歯の状態によってどうしても必要と考えられる場合には、麻酔を使用することもあります。やむを得ず麻酔をする際には、針が刺さる時の痛みを和らげる表面麻酔薬を塗布してから、細い針でゆっくり麻酔薬を注入して痛みを最小限にする方法で行っています。この麻酔のテクニックは、数多くの経験を積んだ歯科医師だからこそできる、嫌にならない治療テクニックのひとつです。
すべての子供たちのための治療
歯科治療を受ける子どもたちの中には、治療が苦手で怖くて泣いてしまったり、途中で動いてしまったりする子ども、何らかの病気や障害などで治療に配慮が必要な子どももいます。中には、他の歯科医院で受入れが難しいと言われたお子様もいらっしゃいます。このような配慮が必要な子どもの歯科治療は、対応力と経験・スキルが求められます。
当院では、歯科治療が必要なすべての子どもに必要な治療を行うことを目指しています。必要に応じて主治医と連携し、情報を共有しながら親御さんもお子様も安心して治療を受けられるように取り組んでいます。
虫歯の予防
小児歯科の根幹となるのは、虫歯予防だと考えています。そこで当院では、経験豊富な歯科衛生士を中心とした積極的な虫歯予防に取り組んでいます。
虫歯は放置すると正しく噛めなくなったり、骨の成長が不十分になって歯並びに影響したり、次に生えてくる永久歯に悪影響を及ぼしたりすることが考えられます。将来的なトラブルを少しでも減らし、生涯健康なお口でいられることを目指し、ひとりひとりの長期的なプロジェクトとして、お口の健康を守り続けることが大切です。
当院が行っている虫歯予防処置には次のようなものがあります。
- 定期検診
- 歯磨き指導
- フッ素塗布
- シーラント
- PMTC
- 唾液テスト
日ごろのお口に関する悩みなどにもお答えしますので、遠慮なくご相談ください。
歯並びの予防
子どもの歯並びに悩む親御さんは増えています。歯並びが悪くなると、虫歯や歯周病のリスクだけでなく、成長と共に見た目のコンプレックスにもなり、身体と心の双方の成長に影響する可能性があります。
通常歯並びを治すには歯科矯正治療が必要ですが、早期からきちんと管理することで治療が必要な状態にならずに済むことがあります。
そこで当院では、乳歯が生える前から歯並びにつながる要素の変化をきちんとチェックして、歯並びの乱れ予防を行っています。もし気になることがあれば、歯並び相談もお受けしていますのでお気軽にご相談くだい。
子どもが通いやすくなる工夫
当院は、子どもが歯医者さんに行くのを好きになってくれることを願い、様々な工夫をしています。その工夫の一部をご紹介します。
治療が嫌にならない工夫
お子様が歯の治療を不快に感じたり、嫌だなと感じたりしないよう、子ども専用の機器や器具を使って違和感も少なく、馴染みやすい診療スタイルにしています。
さらに治療を頑張ったらご褒美も用意。親御さんも治療がある時は、スタッフがお子様と一緒に待ち時間を過ごすこともできますので、遠慮なくお申し出ください。
待ち時間が嫌にならない工夫
待ち時間を楽しく過ごせるよう、キッズスペースもございます。絵本やおもちゃなど、自由に遊べるスペースを確保して、退屈な時間と一緒に怖い気持ちを少しでも忘れられるよう配慮しています。
「歯医者さんに行くと楽しいな」と思ってもらえることを目指しています。
一緒に通う人や親御さんが過ごしやすい工夫
当院は、小さい子どもの受診や下のお子様が一緒の受診でも気兼ねなく来院できるよう、ベビーカーでもスムーズに入れるバリアフリー設計。また、おむつ替えシートを設置したトイレや授乳室も完備しています。
車での受診も安心の工夫
駐車場は1台分を大きめに確保したゆったりスペースで、余裕をもって乗り降りできるよう配慮しています。駐車台数も十分な数がありますので安心してお越しください。
お口の怪我にも対応
お子様が受診される理由のひとつに、お口の怪我があります。転んだりぶつかったりとお子様の行動は予測できず、怪我は割と身近なものですが、状態によっては早急の対応が必要なこともあります。
特に歯科でみられる怪我は、
- 歯が折れた!歯が欠けた!
- ぶつかったら歯がずれた、動く気がする
- 唇や歯肉が切れて血が出ている
といったケースです。
問題ないことも少なくありませんが、中には怪我の影響で神経が死んでしまうことや、裂傷が深く縫わなければいけないこともあります。見た目だけでは判断できないケースもあり、時間経過とともに処置が複雑になったり、思ったより深刻で後々に影響が残ったりすることもあります。
もしお子様が怪我をしたら、ご連絡をいただければ優先的に対応いたします。程度がわからずと迷った時も、遠慮なくお電話で状態をお知らせください。
最後まで治療できる工夫
歯医者が苦手な子どもであっても、最後まで治療を行うのは小児歯科の使命です。
そこで当院では、子どもの話をしっかり聞いて、こちらの話もきちんと伝えるコミュニケーションを大切にしており、お子様がどれだけ嫌がっても、ひとつひとつの治療を最後の工程まできちんと行うことを目指しています。
治療で麻酔を使うことは稀ですが、虫歯が深くて神経を取らなければいけない時など痛みが予測される場合には、やむなく麻酔をすることもあります。麻酔中は子どもの様子をつぶさに観察しながら、「えらいね」「上手だね」など声掛けをして頑張りをサポートしています。
また、治療中は親御さんも同席してもらったり、逆に待合室で待っていていただいたりと、お子様の状況に合わせて臨機応変な対応をしていますのでご協力をお願いします。
院内感染・新型コロナウイルス感染防止対策
新型コロナウイルス感染症やインフルエンザなどが猛威を振るい、近年では受診による院内感染に不安を持つ方も少なくありません。
そこで当院では、以下のような対策により感染防止に力を入れています。
- 治療器具の徹底した滅菌消毒や環境整備
- 院内での待ち時間による接触機会を削減
- 空気感染に配慮した換気と空気清浄
保護者様へのお願い
お子様の中には、長い時間頑張れない子や歯医者が苦手な子もいます。治療の内容によっては、少し我慢しなければいけないこともあるかもしれません。また、学校や習い事などで時間帯が集中して、予約が取りづらかったり、お待たせしたりすることもあります。
そこでお子様のスムーズな治療のために、次のようなことをお願いしております。
早い時間帯での受診
小さいお子様は午前中など、できるだけ早い時間にお越しください。
体力や集中力が長く続かない子供は1日の中で早い時間の方が頑張れるからです。
お子様の嫌々でも受診を諦めない
お子様が行きたくないと言っても、諦めずに続けて受診してください。子どもの嫌々に大人が先に諦めてしまわないように、最後まで一緒に頑張りましょう。
行きたくないからとキャンセルすると、その後も同じことを繰り返します。
痛みや恐怖につながるキーワードは使わない
痛みや恐怖につながるような言葉は使わないようにしましょう。
例えば「注射」「削る」というワードは大人でも痛みを連想します。そんなときは、あえて言う必要はありません。治療に行くことを伝えるだけにしましょう。
当院の小児歯科の診療案内
お子様のお口の環境は、大人になってからも引き継がれます。つまり、虫歯予防や適切な治療は子どもの一生の基礎づくりとなりますので、積極的に取り組むことが大切です。
定期検診
定期検診は、虫歯や歯並び、顎の成長などのお口のトラブルの予測や早期発見のために大切です。一般的には結果や状態に合わせて3~6ヶ月ごとの定期検診をお勧めしています。
工程
- 必要な検査を行い、虫歯や生え変わりの状態などをチェックします。
- 汚れの残り具合や歯の状態などから必要な指導を行います。
- 口腔内のクリーニングをします。
歯磨き指導
歯磨きは年齢や成長に伴い、中心となって行う人が変化していきます。
親御さんの仕上げ磨きや自分磨きの方法、ポイントやデンタルフロスの使い方など、その時期に最適な磨き方を歯科衛生士が指導します。
工程
- 汚れに色を付けて残り具合をチェックします。
- 自分磨きのやり方を説明し練習します。
- 仕上げ磨きが必要な場合は、親御さんと一緒になって練習します。
- 必要に応じてデンタルフロスの使い方を説明します。
- クリーニングをして歯をきれいにします。
フッ素塗布
虫歯の再石灰化を促し、歯質を強化してくれるフッ素を歯に塗布します。
フッ素は1歳から塗布することができますが、3~6ヶ月に1回程度を目安に塗布することが、効果を維持するためには必要です。
工程
トレー法:歯の表面の汚れを落とし、フッ素ジェルを入れたトレーやトレー上のスポンジを5分程度噛んだままにしておきます。術後30分はうがいができません。
綿棒・歯ブラシ塗布法:歯の表面の汚れを落とし、綿棒や歯ブラシにフッ素ジェルを塗布して全体の歯に塗り、5分程度そのままにしておきます。術後30分は、うがいはできません。
シーラント
奥歯の溝は汚れが残りやすく、歯ブラシでもなかなか取り除くことができないので、最も虫歯になりやすい場所です。
そこで虫歯になる前に、溝の窪み部分を歯科用プラスチックで埋めて虫歯になりにくくします。
工程
- 歯の溝の中をクリーニングします。
- 歯を乾燥させ、専用の接着剤を塗布します。
- 歯科用プラスチックを歯の溝の中に流し込みます。
- 流し込んだプラスチックを光照射器で硬化させます。
- 咬み合わせのチェックをします。
PMTC
PMTCは、歯面に付着したバイオフィルムという細菌の塊を隙間までクリーニングする処置で、痛みもなく子供から大人まで受けられます。
虫歯予防や歯周病予防にも効果的で、3~6ヶ月に1回程度行うのがおすすめです。
工程
- 施術前に磨き残しのチェックや歯石除去を行います。
- 専用の器具とペーストで歯の表面をきれいに磨き上げます。
- 歯の表面をフッ素などのペーストでコーティングします。
唾液テスト
3歳頃からできる虫歯のリスク検査です。
唾液の性質や虫歯菌の量などを検査して、虫歯のなりやすさや予防のために気を付けるべきことがわかります。健康保険は適用されず自費診療となります。
工程
- 検査前1時間程度は、飲食や歯磨き、うがいを控えます。
- ガム状のものを1分間噛みます。
- 舌についた唾液と歯についている汚れを少し取ります。
- 専用の機器で48時間培養します。
- 結果を説明します。
虫歯治療
子どもの虫歯は早期発見と早期治療が基本です。
健康なままで自然に生え変わり、きれいなお口を維持するのが理想ですが、虫歯ができたら最小限の治療に留めておけるよう定期的に管理することが大切です。
工程
- レントゲンなどで虫歯の状態を確認します。
- 必要に応じて麻酔をします。
- 虫歯の部分を機械や器具で取り除きます。
- 状態に合わせてプラスチックや金属などで削った部分を塞ぎます。
- 咬み合わせの調整をします。
根管治療(神経の治療)
乳歯の虫歯は進行が速く、気づいたらかなり深くまで進んで神経を取る処置が必要になることがあります。神経を取った歯は再び虫歯になるリスクが高く、生え変わりへの影響も考えられるので経過を追って管理が必要です。
工程
- レントゲンなどで虫歯の状態を確認します。
- 必要に応じて麻酔をします(神経を取る治療は麻酔が必要です)。
- 虫歯の部分を機械や器具で取り除きます。
- 神経を取り、消毒する治療を複数回行います。
- 内部がきれいになったら神経の穴にお薬を入れます。
- 削った穴を歯科用プラスチックや金属で塞ぎます。
- 咬み合わせの調整をします。
抜歯
抜歯は、乳歯との生え変わりがうまくいかない場合や、C4の虫歯、矯正治療で必要な場合などに行う治療です。
特に虫歯で抜歯する場合、他の歯の治療に加えて、生え変わりや歯並びへの影響など適切な管理が必要です。
工程
- レントゲンなどで乳歯や永久歯の状態を確認します。
- 親御さんと本人に状態と治療方針を説明します。
- 表面麻酔をしてから注射による麻酔をします。
- 専用の器具で抜歯します。
- ガーゼを噛んで止血します。
- 抜歯後の注意点などの説明をします。
歯並びの管理
歯並びの乱れの原因は、顎骨の成長と歯のサイズや位置とのアンバランス、口腔習癖などが挙げられます。早期から歯科医師が管理することで、将来の矯正治療が最小限になったり、必要がなくなったりすることが期待できます。
工程
- 定期検診で生え方や生え変わり、癖などのチェックをします。
- 必要に応じてレントゲンなどで歯の状態を確認します。
- 歯並びに影響を及ぼす癖や生活習慣について指導をします。
- 矯正治療を検討する場合には、あらためて必要な検査や説明を行います。
- 必要があれば適切な矯正治療法を提案し開始します。
よくある質問
お子様がじっとしていられないのはよくあることです。
当院では、いきなり治療に入らず、時間をかけて慣らすことから始めています。お子様の話を聞きながら頑張れることを増やしていき、終わったらご褒美もあります。歯医者さんが好きになってもらうことと、最後まで治療を終えることができることが目標です。
焦らず、親御さんも一緒に根気強く取り組んでいきましょう。
治療の付き添いはできます。
ご希望をお聞きしますので、遠慮なくご相談ください。ただ、親御さんがいると甘えが出て嫌々が強くなるお子様の場合は、待合室でお待ちいただくこともあります。治療が終わりましたら、お子様の様子や治療内容、次回の予定などきちんとお知らせいたしますのでご安心ください。
お子様の急な怪我は心配ですね。子どもは自分の状態や痛みなどをきちんと伝えられないことが多く、周りが思っているより怪我が重いこともあります。
怪我の程度によっては、できるだけ早く処置をしなければ、後に後遺症や悪影響が出ることがあります。怪我に気付いたらできるだけ早く受診されるか、お電話でご相談ください。
治療概要
治療方法 | |
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治療の説明 | それぞれの小児が持つ特性に関わらず、可能な限り子どもの自主性を引き出しながら虫歯予防を中心に適切な虫歯の治療や管理を行うことで、将来起こり得る虫歯や歯周病のリスクを低減することを目的とした治療。 |
治療の副作用(リスク) |
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術後の制限事項 |
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